As a heart plays it

痛み

階段から落ちた。

5段くらい?いや、もっと落ちた。
10段くらい?いや、もっと?
でも、そのくらい。

はきなれたピンヒールと、いつもの通勤路。
歩きなれた階段と歩きなれた靴のはずなのに
今更こんなに大きく転ぶなんて。


今日もいつも通り家を出た。
コートを羽織り、父親に「行ってきます」と声をかけると
自転車の鍵を取り、ドアを閉める。

いつも通り。

自転車に乗るとコートの裾がタイヤに巻き込まれないように
気をつけながら運転をする。
ロングコートでの自転車の運転は危ないとわかりつつ
寒がりな私は、いつもロングコートを選んでしまう。

ひたすら真っ直ぐに駅への道を進む。
左手には中学校が見える。
朝練なのだろう。運動部の掛け声が清々しい。

朝の寒さも、視界に広がる町並みも聞こえてくる音さえも
何一つとしていつもと変わらない。

変わったことと言ったら、通勤に使っている電車が
信号機故障で休止した運転を再開して間もなかった為に
ホームが人でごった返していたくらい。

それでも、遅刻せずに会社につく時間に電車には乗れた。

走る必要もあわてる必要も全くない。

乗り換えの為に電車を降りると、改札に向かい階段を登る。

私の通う会社は10時出社。
ありがたいことにラッシュとは無関係の出勤時間。
普段は電車も混んでいないが、今日はいつもより人が多い。

財布からパスネットを取り出しながら階段を上ると
いつもと同じ改札を通る。
いつもと同じルートを通り、
いつもと同じように乗り換えの改札を抜けて
いつもと同じように階段をおりる・・・

その階段を降りる途中、
私はいきなり転んだ。滑り落ちるように。

機械のように同じ毎日を繰り返していたはずなのに、
今日はいつもと違う工程が含まれていた。

滑り落ちていく自分をなんとか止めようとしたけれど
突然のことに体は思ったように動かなかった。
落ちている間は、痛みなど感じず
ただ漠然とどこまで落ちていくのかが不安だった。

幾度となく左膝から左すねを打ちつけ
落ちるところまで落ちた後に、
立ち上がれないほどの痛みに襲われた。

カバンの中身はぶちまけられ、
急いで拾わなきゃという想いとは裏腹に体は動かない。

数名の男性が「大丈夫ですか」と声をかけながら
カバンの中身を拾ってくれた。
「ありがとうございます」と小さく頭を下げながらお礼を言うが
恥ずかしさのあまりに、顔をみることが出来なかった。

横を通る女性が、「そこにも何か落ちてるわよ。」「そこそこ」と
かけてくた声が、耳障りにしか聞こえなかった。
落ちているのはわかっているが、体が動かない。立つことができない。

「ありがとうございます。」
とりあえずお礼を言うと、なんとか落ちているものを拾おうと
手すりをつたいながら移動した。

痛みをこらえつつ、なんとかホームの隅まで行くと
ジーンズの裾をまくり打ちつけた足を見た。

みるみる腫上がる足。
反対側の足と比べると明らかに変形している。

傷ついた足をさすりながら、気がつくと涙が出ていた。
何もかもが嫌になった。

金曜日の夜の出来事も
起きなかった出来事も
誰にも会いたくないし
会社にも行きたくない
色々な事が嫌で
色々な事に腹がたった

思いっきり駄々をこねて泣き出したい気分だった。

みんな嫌い!
嫌い
嫌い
大嫌い!!

怪我をした足よりも、胸が痛かった。心が傷ついていた。

大声で泣き出したい。
そんな気分だった。

足の痛みを忘れてしまうくらい、胸の奥が痛くて苦しかった。

涙は止まることなくあふれ出してくる。
叫びだしたい衝動を抑えて、足をさすりながら泣いた。ただ黙って泣いた。



「痛い。。。」

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君のすべてを

弱さ隠す君の姿が 時々無性に心配になる
そんなに強がらなくていいよ
許されるのなら そっと声をかけたい

とても器用に生きているようにみせるけど
誰よりも不器用な君が 僕には見えるよ
泣きたいときは 素直に泣けばいいんだよ

君の横で 並んで歩くことができるなら
君の弱さも不器用さも 
全て僕に見せて欲しい

それが我侭だと言うのなら
こんな僕の我侭を 君に聞いて欲しいんだ

君の弱さも 情けなさも 
すべて受け止められるように 僕も強くなるよ

だから 僕には 僕だけに
君の全てを 見せて欲しい

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Happy Valentine’s Day!!

久しぶりに焼いたジンジャークッキー

この間は会った時に 喉の調子が悪そうだったから
歌を歌うあなたへ

少しでも カラダにやさしいものを届けたかったの


チョコレートのカップケーキ

バレンタインだから チョコレート
やっぱり定番の チョコレート

男の子だから 少しビターにワイン好きのあなたの為に


二度と作らないと決めた 型抜きクッキーも
何軒も何時間もかけて探して歩いた プレゼントも

少しでもあなたに喜んで欲しかったから

少しでも気持ちが届くように 思いをこめたラッピング

「ホワイトデーは3倍返しでね。」

お返しを楽しみにしているわけじゃないんだよ
何でもいいから理由をつけて あなたに会いたいだけなんだよ

3倍は そんな私の照れ隠しなんだよ

少しでも届けばいいな

Happy Valentine’s Day!!

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心の中には美しいものばかりじゃないから
全てを吐露してしまえば
まるでヘドロのように 汚い感情が流れ出て
全てを汚染してしまう

それでも 隠し切れぬ汚い感情を
君が受け止めてくれるから
まるで何かに許されたような
そんな気持ちで生きていける

美しさも汚さも どんなにダメな部分だって
僕の全てを 君が受け入れてくれるから
僕は僕として 生きていかれる

君がいてくれるから 僕は僕でいられる

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誓い

私がいることで 少しでもあなたが救われるなら
いつまでも 私はここにいよう

私の存在が 少しでもあなたの傷を癒すなら
だまって あなたを見つめているから

いつでも安らげる そんな場所であるために

あなたに起こる全てのことを 一緒に分かちあえるように

常に笑顔を絶やさずに
ただ黙って側にいよう

そんな誓いを ひっそりと
心の中で立てた今日

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君が好き

本当はすごく好きなのに
正直になれないのは くだらないプライドのせい

本当はすごく好きなのに
認めたくないのは 単なる自己保身

傷つきたくなくて 素直になれない

きっと 君と会えなくなったら
とても笑って過ごせないから

もし 君に振られたら
とても 立ち直ることなんてできないから

傷つくのが怖くて 素直になれない

そのくらい とても とても 君が好きです

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流れぬ涙

最近泣かなくなったのは 強くなったのではなく
涙を流すほど 日々に夢中になれなくなったから

最近泣かなくなったのは カッコつけているわけでもなく
涙を流す前に 諦めてしまうから

毎日が がむしゃらで 夢中で まっすぐで
一生懸命だった あの頃

あの頃の涙は 二度と見ることはできないのかな

涙を懐かしいと思うことさえ
あの頃には戻れないという 諦めなのかもしれないね

言い訳が増える度に リアリストぶり
諦めるたびに 大人ぶる

"叶わない”ことが現実ならば
きっと この世界に成功者はいない

夢を諦めることが 大人ならば
きっと 僕はもう大人だ

流れぬ涙を思って 涙が流れる

本当は子供でいたいんだよ

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夕暮れ

私の姉は成績もよく、両親の好むことをした。
両親に反発することもなく、素直に言うことを聞くいい子だった。
そして、それに反発するかのように私は両親に反抗した。

私達は双子で、顔も体も全て一緒だったのに
姉はいつもピンクの服で、私はいつも水色だった。
私達の違いはホクロの数くらいなものなのに、
姉を見るたびに劣等感を感じた。

羨ましかったのだ。いつも姉に両親の興味が向いていることが。
悔しかったのだ。両親が姉しか見ていない事実が。
同じ日に同じ顔で同じ両親から生まれたのにどうしてこうも違うのか。

両親のお気に入りの姉。両親が興味を示さない自分。
自分の中の葛藤は、いつしか憎しみとなって矛先を姉へと向けた。

それは、大学入試を控え進路について話をしている時期だった。

その頃の私は両親が全てだった。
両親の関心を引きたくて、両親に自分を見て欲しくて必死だった。
両親の気を引く為には姉の存在が邪魔だった。

いつも姉の足をひっぱることばかり考えていた。
いつも姉を蹴落とすチャンスを狙っていた。

私から見ると完璧すぎる姉のあら捜しの為に
姉の目を盗み、勝手に姉の部屋に入った。
男の存在でもいい。両親がショックを受けるような何かを
両親が姉を嫌うような何かを見つけたかった。

ある日、私は姉の部屋で日記を見つけた。
高鳴る鼓動を抑えつつ、ページをめくる。きっと何か見つかるはずだと。
そして私は、姉が美大に行きたがっている事実を知った。

私は、初めて姉に勝てるような気がした。
姉が「美大に行きたい。」と言ったなら、両親は大変ショックを受けるだろう。
なぜなら、両親は自分の後をついで医者になって欲しいと願っていたからだ。
もしそこで、私が「医大に行く。」と言ったなら、きっと両親は私を見てくれるに違いない。

そう思った。

気がつくと顔から笑みがこぼれていた。
やっと、やっと、両親が私を見てくれるチャンスが訪れた。

それはある夏の日。進路志望の面談を控えた日の夕食だった。

今夜、きっと志望校の話が出るだろう。待ちに待ったこの日。
私はここで「医大目指す。」と言うだけでいい。
それだけで、両親の愛情が手に入るのだ。

夕食の前から、私は笑いが止まらなかった。
この夕食を後に手に入るものを考えたら、
こみ上げてくる笑みを止めることができなかった。

「気持ち悪いわね。何かあったの?」

母の言葉に私は「ふふ」っと笑って答えた。
あとちょっとでわかるわ、ママ。

案の定、両親のそろった夕食では志望校の話になった。

「あなたたち、志望校は何処にするつもりなの?」

待ちに待った質問だった。
母の言葉に、私が返事を返す間もなく姉は言った。

「国立○大の医学部を目指すわ。」

それは雷に打たれたかのような衝撃だった。

やっと、両親の関心を得ることができると思っていたのに。
いつもそう。姉は私より先に、両親の喜ぶ言葉を選んでしまう。

両親は姉に賞賛の言葉を浴びせた後、私に聞いた。

「あなたはどうするの?」

母の言葉に、考え中とのみ答えて自室に戻った。

両親のため息が、背後から大きく聞こえた。


どのくらいだろう。ずいぶんと長い間、放心状態だったように思う。
鈍器で頭を殴られたかのように、頭の中でボワーンと音がしていた。
自分を取り戻すまでには、だいぶ時間がかかった。

気がつくと涙があふれていた。

悔しくて、憎らしくて涙が止まらない。

いつまでも自室から出てこない私の態度に異変を感じ、
部屋を訪れた姉に、私は罵声を浴びせることしかできなかった。

「あんたは自分の感情なんてないんじゃない!
 いつもやパパやママの言いなりで。あんたなんてただの人形よ!!」

姉も姉で苦しんでいたことを、その時の私は知らなかった。
私はまだ子供で、自分のことしか考えられなかった。
姉の気持ちなんて考えたこともなかった。考えようともしていなかった。

姉もまた両親に嫌われたくない一身で、必死に自分を殺していたのだ。

私の言葉に反応することもなく、姉は部屋を出て行った。

数分後、姉は包丁を持って私の部屋へと戻ってきた。

”殺される”

私がそう思った瞬間、彼女は自分の手首を切った。 何箇所も。

その日はとても綺麗な夕暮れだった。

「私は人間よ。ほら、まみちゃん。私だって血が流れてるもの。
 こんなにいっぱい血がでてるもの。ね、見て。私だって・・・。」

血まみれで私の元へよってきた彼女に、私は恐怖を覚えた。
あまりの恐怖に身動きすらできなかった。

訴えるように私を掴んだ手は、力強いものだった。
彼女にこんなにも強く腕を握る力があるのかと思うほどだった。

握られた腕の痛みで我にかえる。

うつろな目と青白い顔。
彼女の後ろには小さな窓。窓からは真っ赤に染まる夕日が見えた。
まるで、彼女から流れる真っ赤な血液と同化するかのように・・・。


綺麗・・・


純粋に美しいと思ってしまった私も、その時すでに狂っていたのかもしれない。


気がつくと母親の叫び声が聞こえた。
父親も一緒に何か騒いでいるが、何を言っているのかは聞き取れなかった。

両親の声は遠く、救急車のサイレンだけが私の中でこだました。



私は今、医大に行っている。


そう、両親を喜ばせる為だけに。

狂っている・・・そう思うことが何度もあった。

やっと願いが叶ったはずなのに、生きている実感がなくなってしまった。
今になって、姉の言葉がよくわかる。
私にも血が流れているのか不安に思う。

望みと魂を交換に悪魔と取引をしたようだ。

それでも、夕暮れを見ると自分が人間であることを思い出す。

自分が人形のように思える時、思い出すのはあの日の夕暮れ。

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カーテンコール

思ったよりも落ち込んでいる自分に笑ってしまう。

ふと感じる直感は、何よりも正しいものだと信じているし、
今までも正しいものだった。

週に1〜2回の頻度で顔を合わせるようになって2ヶ月。
会えば必ずといっていい程、時計の日付は翌日に変わる。
少なからず好感はもっていてくれるだろうとは思うけれど、
ここまで来て何の進展もないということは、相手にとって私は何かが足りない。

足りないものが容姿なのか、中身なのかは知らないけれど。

行くはずだった映画が延期になった。

日程の延期を告げる電話を切るとため息がこぼれる。

「そろそろなのかな。。。」

”タイミングも相性の内”
まさにその通りで、流れ続ける約束にエンディングが聞こえてくる。

自ら終止符を打つ日も遠くないのかもしれない。
いや、そろそろ終止符を打たなければいけない。

漠然とそんな直感はあった。

わかってはいたはずなのに、いつもより怒りっぽい自分がいる。
強がってはいるものの、思ったよりも堪えているのだろう。
額に見えるニキビの数さえ、いつもよりも多い。

「ふぅ」っと息を吐いて、気合を入れなおす。

なくなった約束の時間に間に合うように会社を出る。
意味もなく一駅先まで歩いていると、夜風がいつもより肌寒い。

柄にもなくセンチメンタルな気分になって
公園を1人歩きながら口ずさむ。

思い出されるのは失恋ソング。

そんな自分に笑いが止まらない。
いくつになっても中学生のように恋をする自分が
可愛くもあり、恥ずかしくもあり。

「あぁ〜あ」

大きく伸びをするとまた歩き出した。

その先にはカーテンコールが待っている。

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ぬくもり

繋いだ手のぬくもりを 思い出して
自分の手を見つめた

私を包んだ大きな手は
今どこにあるのかしらと
見上げた空には 一番星

2人で見た星空は こんなに澄んではいなかったけれど
何よりも澄んだ心が そこにはあったと
今でも私は信じている

お互いに微妙な気持ちを抱いて
素直になれる関係ではなかったけれど
2人の時間に嘘はなかったと
今でも私は信じている

一緒に歩いた時間は 決して長いものではなかったけれど
2人で過ごした想い出は あなたにとっても
楽しいものであったと思ってくれたら 私は幸せ

私の手には 未だにあなたのぬくもりが消えないけれど
私から”さよなら”したことは 後悔していない

先のない時間を過ごすより 想い出を大切にしたかった
振り返る時間が 幸せなものであるようにと
私の我儘を許して欲しい

一番星に願いを馳せて 
繋いだ手のぬくもりが いつまでも消えないように

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